ハイブリッドコンサルタント

2014年12月13日土曜日

【雑記】資格を取ると人生は変わりますか~二次試験合格発表に寄せて


先日、ネットサーフィンいしていたら、こんな言葉が目に入りました。

『「受かったからってなんにもならないよ」というセリフは、合格した後に吐いてくださいね(笑)。』(『東洋経済オンライン 「資格ランキング」ほど無意味なものはない!』より)

「受かったからってなんにもならないよ」
この言葉はよく聞かされました。受験勉強をしているときも、合格したあとも。言うのは、会社の上司だったり知人だったりするのですが、不思議なことにこれを言う人は、たいてなんの資格も持っていないんですね。
普通は無視しますが、内心、
「余計なお世話じゃ」
と思っています。

登録して1年ちょっと、いろな活動に手を出してみて思うのは、ちゃんと活動していこうとしている人ならみんな
「資格をとっただけじゃなんにもならない」
ということを知っているということです。

ほとんどの資格でそうだと思いますが、診断士なんて独占業務がないから特にそう思う人が多いように感じます。取った後にどんな活動をしていくのかが問われるわけです。

ただ、ないよりあったほうがやりやすいことも事実です。自分からアクションを起こせば、可能性がどんどん広がっていきます。それに、資格に恥じない振る舞いをしなくては、と思うことも多少ある(笑)

昨日、診断士は二次試験の発表がありました。口述が残っているとはいえ、ここまでくればほぼ診断士になれることはほぼ間違いありません。この後は、できるだけ早く次のアクションを起こしてほしいと思います。

合格しただけで何のアクションも起こさない人も一部にいます。それぞれ事情や目的があってのことだと思うので一概には言えませんが、もったいないな、とは思ってしましまいます。

「受かったからってなんにもならないよ」
ではなく、正確には
「受かった『だけ』じゃなんにもならないよ」
です。自分の行動次第ですべてが変わってきます。

ですから、自分の関心のおもむくまま、いろんなことにチャレンジしていってほしいと思います。その先には、見通せないほどの広大な可能性の荒野が広がっていますから。

PS
時に、資格を持って活躍されている人の中に、この言葉を公言される方がいます。でもその人を見ていると、その人の存在自体が資格の枠を超えているというか(笑)資格なんてなくても活躍できるんだろうなと感じさせます。
逆に言えば、そういう人は何を言ってもいいわけで(笑)資格にとらわれる必要がまったくない、というのは素晴らしいことだと思います。そういう人になりたいな、という気分は、僕の中に少しだけあるのも事実です。


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2014年11月30日日曜日

【雑記】『企業診断』12月号特集記事に寄稿しました

いろんなところに書き散らかしているので忘れてましたが、よく考えたら紙媒体でのデビュー作でした(笑)


企業診断 (同友館)』12月号の特集記事に寄稿させていただきました。




特集テーマは

「始めよう!”自分”診断~目標達成に活かす診断スキル~」 

1、はじめに
 ―なぜ”自分”診断が必要なのか
2、「自分自身を経営する」という意識
 ―(株)リンクアンドモチベーション小笹芳央代表取締役会長に聞く
3、実践に活用したい診断スキル 基礎編
4、実践に活用したい診断スキル 応用編
5、使える?使えない??診断スキル
6、終わりに
 ―”自分”診断で得られたもの





第1章「はじめに―なぜ”自分”診断が必要なのか」と第6章「おわりに―”自分”診断で得られたもの」を担当しています。第5章の座談会「使える?使えない??診断スキル」でも好き勝手なことを話させてもらっています。

「取材の学校」で一緒だった仲間5名で取り組みました。どんなテーマで取り組むか、いろいろ議論はあったのですが、年末企画らしく、「目標」について考えてみよう、ということでこのテーマになりました。

目標設定・目標達成のために使えるフレームワークを、具体例を示して説明しています。前提として必要とされることにも触れました。

また、「アイ・カンパニー」で知られる(株)リンクアンドモチベーションの小笹芳央会長のインタビューを基にした記事もあります。けっこう役立つ内容になったんじゃないかと思っています。

大手の書店であれば、ビジネス雑誌のコーナーに置かれているはずでます。常体(である体)で書いたせいもあるし、読者ターゲットが診断士というのもあって、全体的にちょっと硬い感じの文章になっていますが(苦笑)、よければ手に取ってみてください。僕たちの担当以外の記事にも興味深いものが多いです。


それにしても、「目標を持たない生き方をする」と宣言した年の終わりに「目標」についての文章を書くことになるとは(苦笑) まさに人生は予定通りには行かないということの象徴です。


PS
こちらから、一部を読むことができます。
中身拝見


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2014年10月19日日曜日

【雑記】二次試験まであと1週間~チャレンジできる贅沢を満喫しよう~

本番まであと1週間になりました。来週の今頃は、すでに会場近くに着いている人もいるのではないか、という時間です。

と書くと、このあと直前期の過ごし方のアドバイス的な文章が続くように思われるかもしれませんが、そんなことは書きません。その時期、自分がどうやって過ごしたのか記憶が定かではない僕にそんな資格はないし、また、そういうことが書かれたブログは他にあります。必要ならそちらを見たほうが間違いなく良いですから。

僕が言えることはふたつだけ。
残りの日々を、自分なりに精一杯過ごすこと。
当日は、魂を込めて、冷静にファイトしてくること。

これしかありません。

今年の一次試験、少なく見積もっても、1万人以上の方が不合格になっています。なかには冷やかしで受けた、記念受験だ、という人もいるでしょうが、多くの人はそうではない。全力を尽くしたのに二次に進めなかった、という悔しい想いを抱いている人が大勢います。二次を控えた人の中にも、そうして涙を飲んだリアルな友人がいる人も多いはずです。

二次試験に臨む人たちは、そうした人の想いも背負って試験会場に向かうべきだと僕は思います。
「今年ダメでも来年があるさ」
というような気持ちでは、そうした人たちに対して失礼だ思うのです。

僕自身、こうした気持ちをもって臨みました。もちろん、最初からそんな気持ちをもっていたわけではありません。TACの恩師であるE先生から、

「同士に恥じないような答案を書いてこい」
という言葉をもらって 
「その通りだよなあ」
と思ったのです。
冷静に考えれば、合格できると思える要素はなにもありませんでした。ただ、だからこそ、気持ちだけでも負けないようにしようと思っていました。

一次試験と違って、詰め込まなくてはいけない知識はほとんどないはずです。知ってるかどうかで勝負が決まることはほとんどない。一次以上に、気持ちの部分が大きくなります。

僕は基本、根性論が嫌いな人間です。トレーニング不足を根性で誤魔化すのは悪しき風習だと思っています。しかし、最後、ギリギリの段階で最も必要なことは「根性」だとも思います。

「根性上等」です。出来る限りの準備をしてきたからこそ、最後は気持ちが左右しします。自分は準備不足だと思っている人もいるかもしれません。でも、ほとんどの人が働きながら勉強をしてきたのですから、十全に準備ができた人など数えるほどしかいないと思います。みんな、さまざまな制約の中でやれることはやってきた、ということだと思います。それで十分です。

当日は、諦めてしまいたい状況も訪れるかもしれません。だけど、諦める必要は一切ない。
諦めるのは試験が終わってから、いや、不合格通知が届いてからでも十二分に間に合います。

二次に挑戦できる人はある意味「選ばれし者」たちです。チャレンジしたくてもできない人が大勢います。だからこそ、選ばれし者としての誇りをもって、チャレンジできる贅沢を満喫してきてください。


ひとりでも多くの人が、来年、診断士という戦線に加わってくれることを願っています。





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2014年10月13日月曜日

【雑記】取材に同行させていただきました~マザーハウス代表・山口絵里子さん~


『企業診断ニュース』という雑誌があります。診断士協会に入っていると送られてくるので非売品だと思われている節があるのですが、買うことも可能です。同友館オンラインで購入できます。⇒ 同友館オンライン


10月号の特集記事は「魔法の習慣」。5名の方が取り上げられているのですが、その中に、マザーハウスの代表・デザイナーである山口絵理子さんにお話しを聞いてまとめられた記事もあります。実はこの取材のとき、段取りをちょっとだけお手伝いさせていただきました。その特権で、当日、カメラマンとして同行させてもらえることになったのです。


実は記事を見てもらえばわかるのですが、カメラマンの出番はなし(苦笑)。ですが、その分、じっくりお話を聞かせていただくという贅沢で至福の時間を過ごさせてもらえました。

約1時間の取材の間、ずっと鳥肌が立てながら話を伺っていました。
「もし,マザーハウスのゴールが決まっていたら,何もやらないですね。決められたレールを歩くことには全然興味がないんですよ(笑)」
という言葉は、最近の僕自身の想いと重なって、ものすごく痺れました。

また、伺ったお話しの中には記事になっていない内容もあります。(おそらくスペースなどの関係で泣く泣くカットしたんだと思います)

そんな中にも、僕にとっては忘れられないのが

「人は好きだけどモノには興味がない人がいる。私はモノを通して見えてくる人にとても興味がある」
という(ニュアンスの)言葉でした。

これはマザーハウスの企業理念にも関わることだと思うのです。
「途上国の人は可哀想だから買ってください」ではなく「途上国でブランドをつくる」。

なにかを支援したりするきっかけは、可哀想だと感じたり、そういうことが放置されている社会に怒りを覚えたりということが多いと思います。そのことはスタートとしてはとても大事。その気持ちは忘れずにいないといけないと思いますが、そこに留まってしまうのもどうかと思います。ビジネスとしてきちんとお金をまわしていかなければ、問題は解決しないと思うのです。

そのためには、支援云々ではなく、「これ、欲しい」と思ってもらえる製品を生み出していかなくてはいけません。そして、何かを生み出すということは表現することだと思います。モノ(サービス)を作り出す中で表現されること、表現を通して見えてくる人間性は、普通よりも何倍も魅力的だと思います。

僕自身は今後も、途上国に直接的に関わることはないと思いますが、これから関わっていきたいと思っている分野にも直接的につながる話で、ゾクゾクしながら聞いていました。この瞬間を持てただけで、無理言って同行させてもらった価値があると思いました。(でも、そんな瞬間が連続的に1時間近く続いたわけで、だから至福の時間だったわけです。)



記事はWEB(PDF)でも読めます。⇒『第5章 “多様性”が生み出す新たな価値―‌株式会社マザーハウス代表取締役・チーフデザイナー 山口絵理子さん


冒頭部分(生い立ちなど)を除き、いままでにほとんどメディアに取り上げてこられなかった山口さんの話が載っていると思うので、ぜひ読んでみてください。

PS
他の4名の方の記事も読めます。⇒ 『魔法の習慣 6


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2014年10月7日火曜日

【雑記】診断士登録してから1年が経ちました

友人に指摘されて気がついたのですが(苦笑)診断士登録から1年が過ぎました。官報によると登録日は2013年10月1日です。1周年だなんてことはすっかり忘れてた(苦笑)

1年振り返ると、具体的な、目に見える「成果」は何も残せていない気がします。もう少し形として残せるものがあると思ってたんですけどね。

ただ、種まき的なことは多くやってきました。成果が目に見えない分、やたらと種をまいていた気もします。これから芽が出ると思っていますし、実際、動き始めているプロジェクトも複数あります。

全部が一気に発芽したら手に負えなくなるのではないかとビビッているのですが(苦笑)そのときはそのときで、目一杯やるしかないですね。

人のつながりも一気に広がりました。診断士になる前から、それなりに勉強会などを主催したりしていたので、この部分でそれほど期待感を持ってはいなかったのですが、動いてみたらそんなことはなかったです。いや、凄いな、と。そしてもしかしたらいい意味で「ハブ」になれるかもしれないと考えています。これもちゃんとやっていきたい思います。







所属する会社でも新しい役割を与えられました。僕が望んだわけではない、というか、まったく望みもしなかった場所ですが、診断士資格を取らなければこのポジションにつくことはなかったでしょう。

与えられた場所に留まる限り、僕がこの会社でやりたいことも、やらなくてはいけないと思っていることも十全にはできませんが、まずは、与えられた場所できちんと形を出していこうと思います。それで役員たちに信頼させたい。そうすることで、いまの場所からはみ出していくこともできるようになりますし、はみ出していった先こそが、僕がやるべきことだと思ってます。

まあ、そのときには、僕を今のポジションにつけた人たちの期待を裏切ることになるかもしれませんけどね(笑)

来年の10月には、企業内診断士として、所属する企業内でも、その外でも、「成果」というやつをきっちり示していきたいと思います。















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2014年9月22日月曜日

【研究会】「これから必要とされるコンサルタント」~安定したコンサル業務を続ける秘訣

16日の夜は所属している研究会の定例会。最近、チーム活動ばかりで定例会はサボリ気味だったので(苦笑)久しぶりの参加でした。





テーマは
『「これから必要とされるコンサルタント」~安定したコンサル業務を続ける秘訣』
講師は株式会社ビジネスサポートコンサルタント代表取締役の森田耕一朗さんでした。 
 
うかがった話を個別に分解すると、以前どこかで誰かから聞いたことがあることが多いとは思いました。まったく未知の話ではありません。たとえば「スペシャリストであり、スペシャリストを使えるジェネラリストたれ」というのはある意味「T型人間」を目指せということに通じる話です。

しかし、一連の流れで、トータルで聞くと、「そういうことか」「だからそうなるといいのか」と納得できることが多々ありました。事業再生の現場で切った張ったをされている方のお話は迫力がが違うと思いました。

コンサルタントは簡単に「自称」できてしまいます。別に診断士の資格がなくてもコンサルタントは名乗れます。弁護士や会計士、税理士のような独占業務があるわけではなく、診断士の資格より「○○というコンサルティングファームにいました」というほうが箔がつく場合も多いわけです。

コンサルタントとしての価値を決めるのは自分ではありません。誰かに「認めてもらう」ことなしには本物にはなれない。信頼され、頼られ、必要とされる人。あなたにお金を払いたいと思ってもらえる人。そうならないとコンサルタントとは言えないわけです。そのために何をすればいいのか、どこに向かえばいいのか、ヒントをいただけたと思います。


それと、根っこに眠っていた反体制志向のようなものがむくむくとわいてきまして(苦笑)。別に銀行や大企業が体制側だなんて決めつけるつもりもないですが、「中小企業」診断士である以上、中小企業の側に立って動いてきたいと思います。

最近の一部大企業の下請けに対する対応は、そうとうおかしいと思うことがあります。形だけトヨタの真似をするのはやめろ、と思ったりします。「仏作って魂入れず」というのが多いと感じています。それには対抗していかないと、と思っています。

あまり得はしないのですが、その志向でやっていくつもりです。


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2014年9月13日土曜日

【書評】企業内診断士、被災地での挑戦

企業内診断士、被災地での挑戦~「気仙沼バル」成功の裏側~



同じ「企業内診断士」という立場の者として、できる限り自分ごとに引きつけて読んでみました。ちょっと嫉妬心を覚えてしまうなほどです。企業内診断士のひとつのローモデルがここにあります。

<目次>
第1章 企業内診断士交流会に端を発した被災地での活動
第2章 企業内診断士、気仙沼バル開催への挑戦
第3章 気仙沼バルの運営・分析と提言
第4章 気仙沼バルにおける人とのつながり


所属する企業の枠を超えた診断士グループが、被災地・気仙沼の仮設商店街支援に取り組んでいる、そのレポートです。「気仙沼バル」というイベントを立ち上げて、それを継続しています。(すでに3回開催し、来年の4月も予定されています。)

この本、第4章をぜひ読んでほしいです。この章は支援した診断士が書いているのではなく、支援先の3つの仮設商店街の方をはじめとする気仙沼の方々のインタビューや寄稿を中心に構成されています。いかにこの活動が地元の人に受け入れられ、今後も期待されているかわかると思います。

去年の9月の終わり、第二回気仙沼バルの前の週に気仙沼に行きました。復興屋台村で飲んでいたのですが、バルの話題はかなり聞きました。当時まだ登録が終わってなかったのですが、同行していた人が
「この人、診断士なんですよ」
と紹介されたりすると、感謝の言葉をかけてくれたり、熱を込めてバルへの期待を語られたりする店主の方が何人もいらっしゃいました。(僕自身はこの活動にまったく関わりがあるわけでもなく、なにかをしたわけでもないのですが(苦笑)、診断士というだけでそういう風に声を掛けてくれる方がいたのです)

つまりそのころから、こうした活動は意義深いと思っていたし、ある意味、関わっている人が羨ましいなあ、と思っていたわけです。

特に「第二回」ということを聞いて、素晴らしいと思いました。気仙沼バル自体はこの記事を通して知っていました。⇒J-NET21「気仙沼復興支援プロジェクト第2弾「第一回気仙沼バル」―仮設商店街に地元客の賑わいを」

「第一回」とあるので第二回もあるのだろうと思ってはいたのですが、9月は最後の実務補習やらなにやらでばたばたしていて、バルのことはチェックしないまま気仙沼に向かいました。現地で第二回が翌週にあると知ったのです。

イベントを一過性に終わらせず継続されていることを現地で知しりました。一部の方ですが、現地の方のお話しも聞けました。継続的に支援先に寄り添うことがいかに大切かということを、現地の方のお話聞きながら実感したように思います。

こうした、僕が感じたことを第4章を読んでいただけたらわかっていただけるのではないかと思います。

第1章~第3章は、この活動に関わった診断士の方が書かれています。多くの方が分担して執筆しているので最初は読みにくいかもしれません。でも、慣れてくれば、さまざまな角度からこの活動を知ることができるし、それぞれの方がどんな想いで関わってきたのか、わかると思います。

多様な読み方ができる本です。パラレルキャリアを考えたい方、復興支援について考えたい方、(復興云々に関係なく)町おこし事業について考えたい方。それぞれの立場で得ることがあると思います。

僕自身は、診断士の端くれとして、自分のこれからの診断士活動をどのようにしていけばいいのか、あらためて深く考えるきっかけになりました。自分も動かなきゃ、という衝動がむくむくとわいてきました。一人じゃなにもできないかもしれませんが、動き出さないとなにも始まらないので。




南町紫市場
気仙沼市場 
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2014年9月2日火曜日

【書評】自ら動く。その先にやるべき支援が見えてくる~『なぜ、川崎モデルは成功したのか?』/藤沢久美



7月末、経済産業省の有識者委員会で、「小規模企業振興基本計画」の原案が大筋、了承されまた。中小企業の中でも事業規模が小さい小規模企業向けの支援策をまとめたものです。中小企業の約9割を占める小規模企業に特化した支援策を打ち出すことで「アベノミクス」の効果を地方にまで波及させていくことが狙いだと言われています。

このように日本には、さまざまな中小企業支援施策があります。正確にその数を把握できる人はいないのではないか、というほど多数存在しています。しかし、十分な成果をあげている言い切れるものはけっして多くありません。そのなかで、川崎市の支援策は大きな成果をあげていると言われています。本書では「川崎モデル」と呼ばれるその施策について、それがどのようにして生まれ、継続してきたかについて考察されています。

『なぜ、川崎モデルは成功したのか?』 藤沢久美(著)・実業之日本社(出版) 
<目次>
プロローグ 川崎モデルについて
第1章 川崎モデルの誕生までの歩み―工都・川崎市の空洞化
第2章 成功例で見る川崎モデル―成功の鍵は「癒着ではなく密着」
第3章 川崎モデルの営業スタイル―企業の強みを見える化する方法
第4章 川崎モデルのチームづくり―大企業・銀行・大学・中小企業・役所
第5章 イノベーションを生む川崎モデル―オープン・イノベーションの実現
エピローグ 川崎市のさらなる進化


■川崎モデルとはなにか?

「川崎モデル」とはなんでしょうか。実は本書に登場する人それぞれが異なるモデル感を持っています。人により定義は異なります。しかし、すべてに共通する部分もありました。
支援する人々が企業のことをよく知っているということ、そして自分のことのように企業のために何をすべきかを考え、実践する。しかもそれは、一人の担当者がリードして動くのではなく、支援担当者それぞれが創発的に動き、多くの人を支援の渦に巻き込んでいく。(p14)
具体的には次のような流れで進んでいきます。(p203の図表から)
1、元気な企業の発掘
まず、市役所の職員がうごくわけですが、アンケートやSNSのチェック、経営者との勉強会や金融機関からの紹介を通して、市内の元気な(中小)企業を発掘していきます。
2、企業の強み発見
キャラバン隊(市役所職員、コーディネーター、金融機関、大企業知財担当者など)で訪問し、経営者との面談を通して強みを発見していきます。
3、強みの見える化
市が行う各種認定制度や受賞イベントへの応募促進。そして認定・受賞後はメディアへの露出を後押しする。
4、オープン・イノベーション
大企業との知財交流、大学との共同研究、異業種企業とのコラボレーション、といった活動への支援



■「川崎モデル」は他となにが違うのか?

多くの自治体で、3、「強みの見える化」ついては取り組まれています。各種認定制度や受賞イベントの企画は全国で行われています。別に川崎市以外の自治体が中小企業支援について積極的ではない、ということではありません。

ただ、認定制度を作ったり、受賞イベントを企画したりして、「さあ、応募してください」と待っているところが多い印象を受けます。そこが違いです。川崎は市役所自らが動きます。自ら発掘し、訪問し、「こんな強みがあるのだから応募してください」と促しています。

行政の職域を超えるのではないか、という批判はあり得ます。実際、このモデルを確立していく歴史の中では、市役所内部からの強い反対もあったと書かれています。しかし、危機感と強い意志を持ち、支援に取り組み続けた職員がいることでいまの形を作り上げてきました。先頭に立って動く人がいるからこそ、金融機関や大企業など多くの人々がその輪の中に巻き込まれてきたのです。

大企業と中小企業が連携することで、新しい製品の開発の可能性が高まります。双方にメリットがあるわけです。その場合、中小企業側には大企業に対する警戒心はあるでしょうし、また大企業側にも下請け意識がないとは言い切れません。しかし、川崎の場合、市が関わることでそうした懸念が払しょくされています。もちろん、ただ関わるだけで払拭できるわけではなく、上に示したようなさまざまな取り組みがあるからこそ、中小企業も大企業も市を信用して、動くことができるのです。

その結果、いままでにない製品やサービスが生まれてきています。「川崎発」のイノベーションが起きているといっても過言ではありません。

■新しい中小企業支援の可能性

本書のタイトルは『なぜ、川崎モデルは成功したのか?』です。過去形を使っていいのか、という疑問はあると思います。成功とはなにを指すのか、という指摘もあり得ます。しかし、いままでにない取り組みをし、それを継続し進化させてきていることは間違いありません。川崎市のやり方が、多くの自治体や中小企業支援機関のモデルになり、川崎市もまた、いまのやり方を進化発展させていく。そうすることで、日本の中小企業支援はいま以上に有効性を増していき、日本の潜在力がいっそう発揮できるようになると私は考えています。

その際に、忘れず心がけなければいけない前提はたったひとつです。これさえクリアできれば、あとはそれぞれ地域がそれぞれの特徴を活かしたやり方で取り組んでいけるはずです。

まず、自ら動く。しかし、それは市役所職員などの役所の人間だけに求められることではない。中小企業支援に本気で取り組みたいと思うなら、まず自ら動き、経営者と語り合い、経営者の同志になる。そのとき初めて、支援のために自分がやるべきことが見えてくる。そして、それを実現するために必要な仲間も見えてくる。(p224)
「中小企業支援」に関わる人たち―それは役所の職員だけではありません。金融機関や大学をはじめとする研究所関係者、NPO法人の方や中小企業診断士など各士業の方々。そうした人にとって本書は、新たな視点とヒントを与えてくると思います。


<参考記事>
自ら動く。その先にやるべき支援が見えてくる~『なぜ、川崎モデルは成功したのか?』(中郡久雄 中小企業診断士)/シェアーズカフェ・オンライン

自ら動く。その先にやるべき支援が見えてくる~『なぜ、川崎モデルは成功したのか?』(中郡久雄 中小企業診断士)/ Yahoo!ニュース



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2014年8月17日日曜日

【勉強法】診断士二次試験のためにやってきたこと

一次試験が終わって一週間。今週末から二次対策を始める方も多いのではないかと思います。

初めて二次を受験される方の中には、
「なにをどうやっていいかわからない」
という人もいるのではないかと思います。

「二次試験の勉強はどんな風にしましたか?」
と聞かれることが増えてきました。
自慢できるようなことは何もしていないし、正直に言えば、僕の真似をしたら落ちる可能性が大ですよ、と言いたいところではあるのですが、、、
まあ、少しでも参考になり励ましにもなれば、ということでできる限り正直に書いてみようと思います。

僕が実質的に2次の勉強を始めたのは9月に入ってから。正式に1次試験通過の案内が届いてからです。

自己採点で受かってはいるだろうと思っていました.。が、なんとなくやる気が出ない。燃え尽き症候群のようになっていて、体調も悪くて、次に進んでいこうという意欲がわいてこなかったのです。

TACの演習は受けていましたが、まるで手ごたえがない。点数も全く取れない。20点台を連発していたと思います。当時
「二次の勉強ってクラウドだよね」
なんて会話をしていましたが、
「11週間で突破できるわけないよな」
「来年、1次からやらなくていいのは助かるな」
くらいの雰囲気でした。

それでも実物の一次の合格通知を目にして、やれることはやろう、と気分を入れなおしました。

最初に決めたこと、というか、結局、最後まで心がけ続けたことは一点しかありません。
「すべての解答は、与件文の中に根拠を求める」
俗っぽく言えば
「小論文ではなく現代文を解くような姿勢で臨む」
この一点だけです。

過去の分析については必ず与件文の中に根拠があるはずです。そして将来のことについても、与件文から論理的に、合理的に推測できる答えがあるはずだ、と考えました。ジグソーパズルのピースを埋めるように回答を作ろうと心がけました。

そのために、浪人時代に使った現代文参考書を引っ張り出して、ペラペラと読みました。本当は問題まで解いて感覚を取り戻したかったのですが、さすがにそんな時間はなかったので。(言語論だの文芸論だのを読んでる時間がもったいなかった)

毎日、事例Ⅰ~Ⅲの過去問を1年分づつやる、という計画でした。でも、飲み会があったり(苦笑)仕事も一次前に手を抜いたつけはまわってきていたし、ということで予定通りには進みませんでした。

そして忘れもしない、9月22日。TACの最終講義の日を迎えます。その最後で、恩師である遠藤先生がこういわれました。

「二次に進む人は是非考えて欲しい。合格したあなたたちの陰で涙した人がどれだけいるのか。その人の分まで全てを背負って試験会場へ行くべきだ。そう考えれば残り1か月でやることも変わるはずだ」

そうだよな、って強く思いました。
教室講座に通っていてよかった、
なんだかんだ一緒に勉強したり酒飲んだりした仲間がいてよかった、
と思ったのです。

次の日、熊野本宮大社に行く用事があって、まあ、予定通り行ったわけですが(苦笑)そこで熊野本宮の本殿でコミットしてきました。
「最後まで手を抜かず魂を込めて答案を仕上げてくる」

熊野から戻ってからは、ほぼ毎日、当初立てた計画通りのペースで勉強ができました。朝80分で1題解答を作り、帰ってきて120分、振り返りをする。これを前日まで続けました。

感触がつかめたのは本番2週間前の直前オプション講座。初めて自分なりに納得のいく答えが書けたし、点数もまあまあというところまできました。
「ひょっとするとひょっとできるかも」
と思いました。

そして前日。再び遠藤先生から心強いメッセージが届き、テンションあげて当日を迎えます。

当日の朝、確認したことは
「すべての根拠を与件文に求める。自分の意見を書かない」
ということだけ。
そして、自然体ではやらない。魂込めて答案を書きあげてくる。それだけ考えて本番に臨みました。

そして、結果、合格ということになりました。

ということなのですが、もし参考になればいいな、とは思っています。思っていますが、真似はしないでほしい。

よく読むとわかりますが、僕は事例Ⅳ(財務・会計)の対策を何もしていません(苦笑)それで受かるというのは、ラッキーすぎるほどのラッキー。とても運が良かったと思っています。難しすぎて差がつかなかった、というのが実情のようです。

ただ、逆に言い方をすれば、事例Ⅳに固執するのはやめた方がいいです。他の事例に比べて一次との関連性が強く、何をすればいいかわかりやす部分があります。そのため、ついつち事例Ⅳ対策に集中してしまう方がいるのですが、過度にならないように気をつけたほうがいいです。ここ数年、事例Ⅳの難易度ではそれほど差がつくとは思えません。

特別に財務会計が得意で、どんな難問がきても大丈夫、という人を除けば、基本的なことだけは押さえておいて、あとは他の事例に注力するのも一つの手だと思います。

その上で、最後まであきらめないこと。
あきらめるのは試験が終わってから、いや、不合格通知が届いたからでも十分間に合うのですから。


一番参考にしたテキストは、結局これでした。 予備校の模範解答も参考にしましたが、80分で書ける内容、と考えると、レベルが高すぎます。
現実に合格した人がどのレベルの答案を書いていたのか、自分との差を確認する意味でも、この本は参考にしたほうがいいと思います。

2014年版中小企業診断士2次試験 ふぞろいな合格答案エピソード7



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2014年8月4日月曜日

【雑記】マイクロ投資の可能性~『プロジェクトを買う。「購買で応援する」の先にある「投資で応援する」』に参加して考えたこと

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先日、『Motherhouse College』に参加し、ミュージックセキュリティーズ(株)の猪尾取締役のお話しをうかがってきました。
ということはこちらのブログ⇒『THE ONE NIGHT STAND-【セミナー】プロジェクトを買う。「購買で応援する」の先にある「投資で応援する」』に書いてあります。

ですから、今日書きたいことは。ミュージックセキュリティーズが行っているファンド、広く言えばマイクロ投資ファンドについてです。
(ミュージックセキュリティーズHP⇒ http://www.musicsecurities.com  )

いま日本で創業や新規事業立ち上げで資金調達をしようとすると、「補助金」か「金融機関からの融資」ということになります。ただこの間をつなぐ資金供給元がとても少ない。補助金は各種あります。ただそれは事業を完全に軌道に乗せるまでには十分なお金ではありません。一方、金融機関は、ある程度事業が軌道に乗らないことには貸し出したくても貸し出せないことが多いはずです。

この隙間を埋めるものとして、創業してから軌道に乗るまでの間の資金調達先として、こうしたマイクロ投資ファンドを活用していくことを考える必要があるのではないかと強く思いました。

実際、地方自治体や金融機関からミュージックセキュリティーズへ紹介されてくる案件が多くあるそうです。

中小企業の資金調達を考える上で補助金は欠かせないと思います。そうではあるのですがそれだけに頼るわけにもいきません。そもそも日本の財政事情を考えれば、政権の意向次第で補助金が大幅に削減される可能性もあるわけです。選択肢を増やす意味でも、診断士として、マイクロ投資ファンドは視野に入れておくべきことだと思います。

さらに言うと、ファンド側が、「事業計画書」が書ける人を求めているということもあります。投資を実行するために事業計画書は欠かせません。しかし、ご存じのとおりですが、中小企業のオーナー自らそれが書ける人は少ない。現状、ファンド側でそこまで応援をしているそうですが、もし、診断士が助言しながら計画書を作成することができるなら、投資先として選ばれる可能性は高くなると思います。(もちろん、ファンドの理念に合うということが大前提ではありますが)

いまのところ、感覚的にそう思ったという域を出ないのですが、マイクロ投資・クラウドファンディングについて少し突っ込んで調べてみようと思います。もともと、ミュージックセキュリティーズの会員でありますし、こうしたことには興味がありました。

診断士が力を発揮できる場がここにもあるかもしれない、と思ったのでした。







2014年7月12日土曜日

【勉強法】直前期の過ごし方



1次試験まで1か月を切りました。
僕はそれほど受験生指導に積極的に関わっているわけではないのですが、それでも「直前期にどんな生活をしていたのか」「どのくらい勉強したのか」というような質問を受けることがあります。

そういうことを書いているブログはたくさんあります。僕が書くこともないとは思ったものですが、僕がやってきたことであまり見かけない話題がいくつかあるので、思いつくまま書いてみます。



■やらないことを決める

この時期、新しいことに手を出さない、というのは共通して言われていることだと思います。その上で言うと
「やらないこと決める」
ことが大切だと思います。

残された時間で万遍なく勉強することなど不可能です。やることを絞って行かないといけません。しかし、やるべきことを積み上げると結局「あれもこれも」になりかねません。先にやらないこと決めてしまったほうがいいと思います。

40点以下は足切りになりますから、科目単位でやらないなんてことはもちろんしていません。科目ごとにやらない分野を決めていきました。たとえば、「財務・会計」の簿記分野、「経済学」のミクロ経済学分野は、過去問の正答率がAのものしかやりませんでした。「経営法務」の英文契約書、「経営情報システム」の統計、は(もちろん)まったく手をつけてません。他の科目も、分野ごとに自分の得手不得手と、頻出かどうかを考えて、やらない範囲を決めていきました。



■やると決めたことをやり切る

「やらないことを決める」ということは、「それ以外のことはやる」ということです。「やらないことを決める」=「やり切ることを決める」です。そうでなければ、何も決めていないと同じです。

やることを絞ってそれをやり切る。やったところから出題されたら必ず正解できる、というところまでしつこく繰り返す。ありとあらゆる方法を使って、やり切ることを考えました。



■体調管理に過敏にならない

やり切るためには、それなりの時間が必要です。働きながら勉強する人にとって時間のやりくりは大変だと思いますが、ラスト1か月です。どんなことをしてもやり切る覚悟でいたほうがいい。それでもそこまでできる人は多くはないと思います(僕も実際、そこまでできていません。)
100のことをやる必要があれば、この時期は150やるつもりで臨んだほうがいいです。それでやっと帳尻があうくらいだと思います。

直前期の体調管理を気にされる方もいると思いますが、それは余裕がある人の発想です。6月の模試で500点以上取れたような人ならともかく、そうでなければやることが優先です。(ちなみに僕は360点でした)

もちろん、あたりまえに気をつけることはやるべきですが(うがいをするとか、食事に気を使うとか)それ以上のことを気にして勉強時間を削るのは本末転倒です。どんなに体調を整えても、うろ覚えでは答えられない問題がほとんどです。思考を試される問題もベースの知識がないと考えようがありません。

当時僕は、服を着たまま寝ていました。起きたらすぐに机に向かって、前日にやったことを確認してから、シャワーを浴びたり身支度をしたりしました。そしてそこからまた机に向かいました。
夜も、寝る時間は決めず、眠くなってこれ以上無理だな、というところまで起きていました。

勉強の不安は、勉強で解消するしかありません。講師の方や友人に「君なら大丈夫」と声をかけてもらったところで、本当に大丈夫かどうかは自分が一番よく知っているはずです。だからやるしかない。

それでも不安が消えることはないとは思いますが、手なずけることはできるはずです。
「ここまでやったんだから、あとはしゃーない」
と思えるまでいけば御の字です。
あとは当日、全力で魂を込めてマークを塗り潰してくればいい。

たかだか3~4週間のことです。極論をいえば「勉強の合間に仕事をする」くらいの気持ちで臨んでみてください。夏休みを前倒してできるなら試験前のタイミングに合わせる。

そこまでやれば、おのずと結果はついてくると思います。
1次試験は絶対評価です。まわりの人は関係ない。とにかく自分が420点取ることだけを考えて、残りの日々を過ごしてください。

少しでも参考になれば幸いです。


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2014年7月1日火曜日

【雑記】8月1日付で異動することになりました


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もう表に出してもいいらしいので書くことにしますが、8月1日付で本社に移籍し経理を担当することになりました。

この話を最初に聞かされたときは嫌で嫌で仕方がなかった。どう考えても僕は経理に向いているとは思えない。これは過去の僕を知る人間からすれば衆目の一致するところだと思います。どうにかして断る手段はないかと考えていました。

「診断士なんだからさ、経理は出来るよね」
といわれたときには
「俺の資格は、会計士でも税理士でも簿記でもない」
と叫びそうでした(苦笑)

断る手段を考え抜いた上で出した結論は「やらざるを得ない」。さまざまな事情を勘案していけば、いまこのポジションをやれる人間は自分しかいない、というのははっきりしてきたのです。

組織人として正式に辞令が出れば受け入れざるを得ないことはわかっていました。だったら覚悟を決めてやるしかない。いまはそう考えています。企業内診断士が自らの企業内でその資格を活かすことを考えた場合、(少なくもといま所属している組織の中では)これ以上の場所はないと思っています。

この分野が苦手であることに代わりはありません。そうとう勉強しながら取り組まないと、まずいことになるのも自覚しています。また、僕がいく以上、財務会計(外部報告会計)ではなく、管理会計、ファイナンス分野に足を踏み入れないと意味がないとも思っています。

火中の栗を拾うようでお腹が痛いのですが(苦笑)、お腹が痛いといって辞めてしまうわけにもいかないので、まずは与えられた場所で全力を尽くしたいと思います。







2014年6月5日木曜日

【勉強会】「取材の学校」を修了しました

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前にも書きましたが。4月の上旬から『取材の学校』に通っていました。
6月1日、全7回の講義を修了しました。立派な終了証もいただきました。



頂いた修了書

こうした形で、ある一定期間まとまった形で講座を受講するのはたぶん4年ぶりだと思います。単発のセミナーには参加してきましたが、数回にわたってまとまった形のものにはしばらく参加してきませんでした。(2日間の営業セミナーはありましたが)。2か月弱でしたが、一緒に学ぶことで一体感も生まれて、ひさびさに「同期」というのを意識する仲間と巡り合えたように思います。

最初からワークを織り交ぜた講義になっていましたが、後半になるにしたがってワークのハードルが上がっていきまして(笑)実際の場を意識して、その場で、ほぼぶっつけ本番で質問をして、答えを聞いて、それをすぐに文章化する、ということもしてきました。そうした中で、どのくらい力がついたのか。

僕は「聞く」力をつけたいと思って参加しました。ただそれだけでなく「書く」ということの力も整理できたように思います。
受講前に自分が目指した地点に到達できているかは、正直、自信はありません。それでもそれなりの手ごたえは感じていますし、それはこれからの活動の中で示しながら、さらに力をつけていきたいと思っています。


一応、修了ということですが、実際にこれからがスタートです。
このことはいつも考えているのですが、今回はいつも以上に強く感じています。習っただけで終わる場所ではないので、ここは。

受講中から、執筆のプロジェクトは動き始めていました。当然、これから加速させていかなくていけません。それ以外にも、スピンアウトの企画もあるし、差し込まれそうな企画はあるし(笑)こちらから提案していける場もあるし。執筆以外のプロジェクトも動かし始めています。

すべては、これからのどんな活動していくのか、そこに今回学んだことをどう活かしていくのか、ということなのだと思っています。

何かの終わりは、いつだって何かの始まりです。


裏方力が人を動かす (働く・仕事を考えるシリーズ)/堀切 研一

2014年5月16日金曜日

【勉強会】「ボイストレーニング講座」を受講してきました

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5月11日、ボイストレーニングの講座を受講してきました。

講師はさまざまお世話になっている倉島麻帆さん。
今回は、ボイストレーニングのみならず、「パブリックスピーキングの必須スキル」や「好感度アップのための笑顔のつくり方」もあわせて学んできました。





僕は倉島さんのセミナーに参加したことがあります。単発のものばかりですが3回は受講しています。ですから、ボイストレーニングの部分では「知らない」ということはありませんでした。

しかし「知っている」と「出来る」の間には大きくて深い溝があります(苦笑)最後の受講したのが3年以上前、診断士試験の勉強を再開する前のことです。時間があいてしまったこともあって、いろいろなトレーニングをすっかりサボってしまっているな、と痛感しました。

こういうことは、いくら知っていても練習をさぼるとすぐにできなくなります。実際、講座の間にいくつかトレーニングをしたのですが、出来なくなっているものがほとんどでした。

特に「腹式呼吸」についてはできているつもりだったので、ちょっとショック。また滑舌についても、もう少しできているかと思ったのですが、全然でした。
早急にトレーニングを再開しないと、と思った次第です。

笑顔のつくり方も以前、教わっていたことです。これは他よりはできていた思いますが、それでも顔の筋肉が痛くなったりと、普段、意識していないことが多いのだと思いました。笑顔は顔の筋肉を動かすことですから、普段から筋肉を動かしておかないと、いざ笑顔になろうと思ってもこわばってしまうことになります。口角をアップさせるトレーニングはすぐにできることなので、これから毎日欠かさずやります。

パブリックスピーキングのスキルでは、特に「視覚的要素」について気付く点がありました。

僕はもともと姿勢が悪いので、人前で話すときはそれなりに意識をしているつもりでしたが、全然足りていない(苦笑)指の先まで神経を使わないといけないということも改めて感じました。また、余計な動きをする必要はないですが(というかしないに限る)、その一方で効果的なジェスチャーというのがあるわけで、それも積極的に取り入れていかないといけないと思いました。

あと、僕自身もやってしまいがちなこととして、パワーポイントなどを使う場合はスクリーンを見ながら話してしまい、聞いてくれる方の方を見ない、ということがありました。

あくまで目線も声もはオーディエンスに向けて。意識して気をつけたい。

今後、人前で話す機会は増えると思っています。それも今までのような、身内の勉強会ではなく、パブリックな場所で話す機会も増えるはずです(増やさないといけないとも思います)

そうした際に何に気をつければいいのか、あらためて注視点がわかったように思います。知識的には知っていることが多かったですが、出来ていないことだらけでした。また、以前とは僕の方の意識も変わっています。具体的に人前で話すことについてのイメージがありますから、以前なら聞き流すようなことも、「ここも気をつけないと」と思えたのだと感じています。

やらなくなるとすぐにできなりますから、日々、短い時間でもトレーニングを日課に組み込んでいけるようにしていきます。

PS
有料コンテンツなので具体的な内容に触れるのは避けました。
より知りたい方は、倉島さんの新著、


大切な人を一瞬で笑顔に変える人の話し方・気遣い方





をぜひ読んでみてください!

2014年5月13日火曜日

【雑記】目先の売上ためにブランドを毀損してもいいのか?~「東洋経済の本の広告について」から考える~

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GW後半、FacebookやTwitter上に頻繁に流れてきた記事がありました。

2014年5月5日日経新聞2面

慎泰俊さんが書かれた「東洋経済の本の広告について」です。
慎さんの新刊『外資系金融のExcel作成術』の5月5日付日経新聞掲載の広告に関して、版元である東洋経済新報社との間にあったやり取りが書かれていました。


該当記事リンク⇒ 東洋経済の本の広告について

詳細は上記のリンク先を見ていただければわかりますが、新聞広告の内容に問題があり、また今後の自分の事業遂行上にも差しさわりがあることを説明して広告掲載3日前に変更要請を出したが、「期日を過ぎているので難しい」と変更が認められなかった、ということでした。

■多くの人に読んでほしい、という想いは共通する

企業である以上、出版社が売上を求めるのは当然のことです。一方、著者からすれば、仮に書籍で稼ぐことを考えていなかったとしても、せっかく執筆し出版した以上、多くの人に読んでもらいたい。内容に自信があればあるほどそう思うはずです。多くの人が読んでくれるということは売上が上がるということにつながります。ここまでは出版社と著者の利害は一致するはずです。

そのためにはまず、多くの人の目に留まることが必要になります。ですから、多少派手目なタイトルをつけたり、煽り系なキャッチの入った広告を打つことが一概に悪いことだとは思いません。

■ブランドより目先の売上が大事ですか

しかしこうしたことは、両者の合意の上に成り立つものだと思います。今回の件で僕が一番気になったのは次の一文でした。
これが僕の事業遂行上も困ることだと伝えたのに、「申し訳ない」だけ。
著者が、自分のブランドが毀損するかもしれないから変更してほしい、といっているのを断っています。しかも、期日は口実にすぎません。少し業界に詳しい人なら、新聞広告は1日前でも変更が可能な場合がある、ということは知っているはずです。変更要請を検討する気は最初からなかったとしか受け取れません。

出版社にとってのブランドとはなんなのでしょうか。ブランドとは、積み重ねられてきた信用の証です。過去にたくさんの良書を出版してきた、という信用が出版社のブランドを成り立たせています。そして当然、良書を書いてくれた「著者」の存在も大切です。著者への信頼が書籍への信頼につながり、それが積み重なることで出版社のブランドは確立されてきたはずです。

ですから、長い目で見れば、著者のブランドを守ることが出版社の利益につながります。著者のブランドが傷ついてしまえば「そんな著者の本を出している出版社なんだ」ということになり、出版社への信用も低下してしまします。

にもかかわらず、著者の要請を断り、広告掲載を行ったということは、目先の売上を確保できればブランドなどどうなってもいい、と考えているのではないか、としか思えません。

「著者候補はたくさんいる。一人や二人のブランドが傷ついても関係ない。」 と思っているのかもしれません。しかし、これは一人や二人の問題ですむことだと思えません。目先の売上に惑わされ、結局はほとんどの著者に対して同じようなことをするような企業文化・企業風土になっていってしまうであろうことは、容易に想像がつきます。

良書が書ける著者からの信用を失えば、良い本は出版することはできず、結局、読者からの信頼も失います。そうなってから、ブランドを回復しようとしても、それは容易にできることではありません。


■他山の石とせよ

ただ僕は、東洋経済を非難するためにこれを書いているわけではありません。我々自身も同じようなこと、つまり、自分の手で自分が築き上げてきたブランドを壊すようなことをしていないか、振り返って考えるきっかけにすべきだと思ったのです。

目先の売上を、あるいは利益を確保するために、コスト削減を苛烈にすすめて、結果的に自らのブランド力を弱めている例は、たくさんあります。

例えばサービス業にとってのブランドの源泉はまさに「サービス」そのものの中にあります。そしてその多くは「人」によって提供されるものです。しかし、ギリギリまで人件費を削り、そのことで利益を確保してきた企業のブランドがいまどうなっているか。従業員の信頼を失い、事業の遂行に支障をきたす場面も見られます。そしてそのことでお客様の信頼も失い、売上も利益も今まで通りに確保できない状況に追い込まれている、そんな企業がいくつか、目に浮かぶのではないでしょうか。

こうした危険はすべての企業に内在しています。長い間、デフレ下にあった我々は、目先の売上や利益に目を奪われがちです。
しかしそれは企業本来のあるべき姿ではない。長期に渡って事業を継続していくことを大切に考えるなら、目先の売上や利益よりももっと大切に考えなくてはいけないことがあるのだ、と考えることがいま求められています。




外資系金融のExcel作成術: 表の見せ方&財務モデルの組み方