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2014年1月28日火曜日

【書評】小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書/岩崎邦彦

小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書/岩崎邦彦






中小企業診断士二次試験・事例Ⅱ(マーケティング)の出題者である岩崎邦彦先生の新著。診断士試験受験生には必読書だと言えます。

<目次>
プロローグ
PART1 モノづくりから、ブランドづくりへのシフト
 CHAPTER1 ブランドづくりのベクトルを統一しよう
 CHAPTER2 ブランドの力
 CHAPTER3 強いブランドの条件
PART2 どうすれば強いブランドをつくれるのか
 CHAPTER4 ブランドつくりのファースト・ステップ
 CHAPTER5 強いブランドは、感情に訴える
 CHAPTER6 なぜ、二番手ではダメなのか?
 CHAPTER7 ブランドづくりは、ひき算である
 CHAPTER8 強いブランドの強力な土台
 CHAPTER9 目に見えないブランド価値を形にする
   CHAPTER10 良い名前、悪い名前
 CHAPTER11 誰のためのブランドか?
 CHAPTER12 広告に頼らないブランドづくり
 CHAPTER13 強いブランドの価格戦略
 CHAPTER14 強いブランドには、ハーモニーがある
 CHAPTER15 ブランドづくりにゴールはない
あとがき


書かれていることはオーソドックスなマーケティング理論・ブランディング戦略です。そうした意味では、一次試験の「企業経営理論」にも役に立つはずです。


まえがきに、いまなぜ「ブランドづくり」が必要なのか、が書かれています。端的に言えば、「ものつくりに勝ってブランドづくりに負けた」のが現在の日本だ、という認識があります。品質≠ブランド、ではない。ブランドは品質を超える。これからはその土俵で勝負していかなくてはいけないということです。

PART1では、「ブランドづくり」をしていく上でので注意点が書かれていて、PART2ではその具体的な施策が書かれています。

スタートは、「ブランドアイデンティティ」を確立すること。ネーミングやロゴから入らないことの重要性が強調されます。 そして、消費者の感情に訴えかけ、ブランドイメージを喚起すること。そのために、ネームやロゴといった「ブランド要素」を活用する。あくまで「ブランドアイデンティティ」にそった「ブランド要素」にしていくこと。
さらに、価格戦略において、価格競争に巻き込まれないような戦略を取ることの重要性、高価格戦略がブランドイメージをどのように作っていくか触れられています。

また、「口コミ」効果についても強調されています。この点については岩崎先生はどの本でも強要されます。
口コミは無料。広告予算に乏しい中小企業にとって、ブランド価値を伝える最高のコミュニケーション手段となる。 (p220)
「中小企業」「小さな会社」のための施策と考えれば、高額な広告宣伝費を使うことは出来ないわけで、そのためにも「口コミ」をいかに広げていくか、その重要性については繰り返し指摘されています。

この本をはじめ、岩崎邦彦先生のご著書を読んで論理パターンを把握しておけば、本番の事例Ⅱにおいて、大きく方向性を間違えることはないと思います。また、書かれていることは決して奇を衒ったものではありませんから、万が一にも出題者が変わっても(よほど変な出題者出ない限り)対処できる知識と論理パターンが身につくと思います。

今年、二次だけ受験する方は、下記に紹介した本も含めて3冊とも必読だと思います。また一次から受験する方はそこまで時間はないかもしれませんが、1冊は読んでおいた方がいい。そしてどの1冊がいいですか?と聞かれたら、今回の『ブランドづくりの教科書』をあげます。一番読みやすくて、趣旨もとらえやすいと思うので。

それと蛇足ですが、8月の一次が終わってから購入しようとすると、Amazonで在庫切れになっている可能性があります。早めに購入しておくことをお薦めします。


スモールビジネス・マーケティング―小規模を強みに変えるマーケティング・プログラム



小が大を超えるマーケティングの法則




<参考記事>

THE ONE NIGHT STAND~NEVER END TOUR~